
タイトル : どろぼうが ないた
作 : 杉川 としひろ
絵 : ふくだ じゅんこ
出版社 : 冨山房インターナショナル
2007.10.31
ページ数 : 32ページ
大きさ : 25.0 x 26.5 cm
【おすすめ度】 ★★★★☆【ジャンル】 心、戦争
【読み聞かせ時間】 7:00
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どんな本?
【内容】
あるところに どろぼうが いた。
お金持ちの いえに しのびこみ、
こっそり こっそり たからものを ぬすみだす。
どろぼうは 町から すこしはなれた 丘の上に
ずっと ひとりで 住んでいた。
こやには、窓が ふたつ。
ふたつの 窓からは、ふたつの国のお城が見える。
このながめが すきだった。
さみしいなんて 思ったことはない。
かなしいなんて 思ったこともない。
それに いちどだって ないたことが なかった。
ある夜のこと
大きな家に しのびこんだ時に
ねこのしっぽを ふみつけた。
あわてた どろぼうは
そばにあった 小さな箱を ひとつだけ とると、
あっという間に 逃げ出した。
こやに もどると、さっそく はこを あけてみた。
土のはいった 小さな はち。
どろぼうは、がっかりして ねむってしまった。
あさ、はちを のぞいてみた。
すると、土の中から 小さな芽が でていた。
その つぎの日も、
そのまた つぎの日も、
のぞくたびに のびている。
どろぼうは おもしろくなっていた。
人のものを ぬすむより、
芽を ながめているほうが
ずっと たのしい。
よるになると いままで ぬすんだものを
こっそり かえしに いくようになった。
たからものや ほうせきなんて もう いらない。
どろぼうは こやの うらに はたけを つくった。
たべきれない やさいは まちに うりに でかける。
はちの 芽を はたけに うえかえた。
花が咲いたら、 絵を かいてやろう。
町に ふでや キャンバスを 買った。
「もう、花が さいているかもしれないなあ。」
そのとき
ドカーン!
ドドカーン!!!
「せんそうだ! せんそうが はじまったぞ!」
「やめろー! やめてくれー!!」
どろぼうは、あわてて 丘へ むかった。
(感想)
「100万回生きた猫」を思い起こさせる絵本でした。
本当に大切なものを知った時に、零れ落ちるなみだ。
泣くのは、何のせい?
どろぼうの心の動きが、言葉と絵の双方で伝えてくれます。
心が温かくなるような、 切なくなるような 余韻が残る絵本でした。