2009年9月27日日曜日

悪魔のりんご

タイトル : 悪魔のりんご
  作   : 舟崎 克彦
  画   : 宇野 亜喜良
 出版社   : 小学館
         2006.12.20
ページ数 : 38 ページ
 大きさ   : 27 x 20 cm

【おすすめ度】 ★★★★★
【ジャンル】  ファンタジー・心に沁みる
【キーワード】 悪魔・りんご
【読み聞かせ時間】 11:30

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どんな本?

【あらすじ】
おじさんと呼ばれた悪魔と
優しい少女の物語。

お腹が空いている悪魔は、
隙を見て、少女を食ってやろう
と考えています。

少女の前には、リンゴ。
おじさん(悪魔)は、少女のお母さんを
探しに行ってしまった。
リンゴを口へもっていこうとするけれども
おじさんが 戻ってきてからと
思いとどまる少女。
それは、悪魔が用意した毒入りリンゴ。

少女の純粋な優しさに
悪魔は悪魔でなくなります。

(感想)
ずっと、気になっていた絵本。
異国情緒ある 不思議な表紙、
少女の大きな目と ぷっくりした頬、
アンニュイな感じで、惹きこまれる。
だが、タイトルを見ては、本棚に戻していた。
怖いイメージが湧いていたから。

どうしても、気になる。
勇気を出して読んでみると、
怖くない、どこまでも 優しくて 切なくて・・・
なんとも云えない、いい話。
最初に感じた 不思議な空間は
読み終わっても、長く後をひいて余韻が残る。

どこまでも、純粋におじさん(悪魔)を信じて
自分優先ではなく、待つ心、優しい気持ち、
相手を思いやることのできる少女。
ほんの少しあった悪魔の良心の隙間から
どんどん、優しい温かいものが入り込んでいって・・・
悪魔でさえ、優しさにより 悪魔でなくなってしまった。

人間の中にある毒は、
優しさで薄めることはできるのかなぁ。
優しさは、毒より勝るのか?
人に、もっと優しくしなくては・・・。

少女は、大人になっても、
おじさんのことを 忘れずに思っている。
おじさんを 待っている。
なかなか、出来ることではありません。
少女は、ずーっと、
純粋でやさしい気持ちを
持ち続けてるんですよね、きっと。

子どもではなく、大人向けの絵本のような気がします。
でも、高学年以上なら、
この奥の深い良さを分かってもらえるかな。