作 : チェン・ジャンホン
訳 : 平岡 敦
出版社 : 徳間書店
2007.6.30
ページ数 : 42ページ
大きさ : 29 x 29 cm
【おすすめ度】 ★★★★★
【ジャンル】 中国
【キーワード】 母・虎
【読み聞かせ時間】 10:00
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どんな本?
パリのセルニュスキ美術館に所蔵されている《雌トラ》という
中国の殷王朝時代に作られた青銅器を眺めて思いついた作品。
また、中国には、赤ちゃんのときトラに育てられた
字文(ジウェン)という男の子の伝説が残っている。
【内容】
猟師に子どもたちを殺された母トラは
人間たちが 憎くてたまらず、
夜ごと、村人を襲うようになりました。
知らせを聞いた王様は、兵を集め、
トラ狩りの行く末を占ってもらいます。
すると、占い師は こう答えました。
『兵を出すと、トラはますます暴れる。
ウェン王子をトラに差し出すより すべはない…』
王さまも お后さまも
胸が はりさけんばかりの悲しみの中、
幼い王子を トラの住む森へ置き去りに…
(感想)
迫力ある水墨画風の絵に吸込まれていきそうでした。
まるで、1本の完成度の高い映画を見終えたような
大人でも十分満足いく作品。
人間とトラとの言葉無き交流が 心に響きます。
トラが子を思う気持ち
人間が憎くて堪らないのに、
フッと 人間の子を 我が子と重ねて見てしまう瞬間。
我が子を恐ろしいトラに
差し出さなくてはいけなくなった人間の親の気持ち。
そして、ウェン王子が大きくなって…
どのシーンも見逃せません。