2010年5月8日土曜日

ぼくのブック・ウーマン

タイトル : ぼくの
       ブック・ウーマン
 文 : ヘザー・ヘンソン
 絵 : デイビッド・スモール
 訳 : 藤原 宏之
発行所 : さ・え・ら書房
        2010.4
ページ数 : 40ページ
 大きさ   : 21 x 26 cm

【おすすめ度】 ★★★☆☆
【ジャンル】  実話(アメリカ)
【キーワード】 本
【読み聞かせ時間】 11:30

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どんな本?

【あらすじ】
カル(ぼく)の家があるのは
山のずっと高いところ。
畑を耕したり、
迷子になった羊をさがしたり、
父さんの手伝いは、長男のカルがする。
ちゃんと家族のために役立っている。

なのに、妹のラークは、
一日中、本ばかり読んでいる。
にわとりの引っかいた跡みたいな文字を
にらんで、じっと座っているのは、
がまんできない。
ラークが先生みたいにふるまっても
ちっともすごいとは思わない。

ある日、馬にまたっがって
女の人がやってきた。
もちろん、家族は、
めったに来ないお客さんを
あたたかくもてなした。

女の人が持ってきたのは本だった。
本をいっぱい詰め込んだ荷物を持って
一日がかりで山の上まで、あがってきた。

うちは貧乏で…
くだらない古びた本に使うお金なんてない。

それなのに、父さんは
「物々交換しよう」
「本1冊と、木イチゴひとふくろだ」
本じゃなく、パイを作ってもらうために
カルが摘んできたものだった。

でも、女の人は首を横にふった。
父さんが何をあげようといっても
受け取ろうとはしなかった。
そして…
「二週間たったら、
もっとたくさんの本と取り替えに来るわ」

カルは思った。
女の人がここに持ってきたものなんか欲しくはない。
今度うちに来るとき、道を忘れても構わない。

でも、雨の日も、霧の日も、雪の日も、ふぶきの日も…
女の人は、やってきた。

カルは、女の人が本を届け、
雪の中を去っていくのを見つめていた。
いろんな考えが頭の中でまわる。

突然、
女の人が危ない目にあうことも恐れずに
ここにやってくるわけを
どうしても知りたくなった。

(あとがきより)
「荷場図書館計画」は、学校がほとんどなく、図書館もないような遠隔地に
本を届けることを目的として、1930年代にフランクリン・ルーズベルト大統領が
提案した「雇用促進事業計画(仕事を増やして、失業している人を減らす対策)」の
一環として始められました。
ケンタッキー州の高地では、川沿いの土手か、
山中にできた木こり道しかありませんでした。
ブック・ウーマンたちは、馬やラバに乗り、
2週間ごとに険しいルートをたどって、
天気の良い日も悪い日も、本をつめこんだ荷物をはこびました。
すぐれた忍耐力と奉仕の精神を備えていました。
報酬はほんのわずかでしたが、彼女たちは誇りをもって働きました。
アパラチア山脈で暮らす人々を外の世界に向けさせたり、
文字を読むことに価値を見出せなかった人々に、
本を読む習慣を植えつけたりしたのです。

(感想)
図書ボランティアをしていて、ここまで奉仕精神があるかと問われると…
でも、子供たちが、本と接して、
たくさんの知識・見解を広めて欲しいという思いはある。
身体的にも、金銭的にも、リスクが少なく、多くの疑似体験ができる。
戦争に行かなくても…、世界旅行ができなくても…、
本を読むだけで、不思議の世界に迷い込むことだってできる。
しかも、場所も時も選ばない。
手元に本があれば…そんな思いと子供たちの笑顔に会いたくて
図書ボランティアに関わっているんだなぁ。